加工食品と生鮮食品の定義

食品表示法では、食品の区分にてついては「加工食品」「生鮮食品」 及び「添加物」の3つに区分されます。

一般的に、加工食品は、製造や加工の工程を経て、食品としての本質が変化したり、新たな属性が加わったりすることから、消 費者は、その食品を一見しただけでは、原材料などの情報を得られません。

一方、生鮮食品は、流通過程においてそのような変化等がないことから、比較的容易に、その食品についての情報を得られるこ とができます。
JAS法や健康増進法の考え方を踏まえつつ、「加工食品」と「生鮮食品」の区分に設けます。

「添加物」については、食品を着色、香り付けするなどの目的で使用されるものであり、「加工食品」や「生鮮食品」とはその 特性等が異なることから、別の区分を行います。

食品区分の定義



加工食品  ・・・  製造又は加工された飲食物として別表第1に掲げるもの
生鮮食品  ・・・  加工食品及び添加物以外の飲食物として別表第2に掲げるもの
添加物  ・・・  食品衛生法第4条第2項に規定するもの(食品表示法第2条第1項)

※製造とは、その原料として使用したものとは本質的に異なる新しいものを作り上げることです。
  加工とは、あるものを材料としてその本質は保持させつつ、新しい属性を付加することです。
  添加物とは、食品の製造の過程において又は、食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法に使 用するものです。

別表第1(2条関係)加工食品の定義 ….(参考)加工食品品質表示基準(別表1)
  1. 麦類
  2. 粉類
  3. でん粉
  4. 野菜加工品
  5. 果実加工品
  6. 茶、コーヒー及びココアの調整品
  7. 香辛料
  8. めん、パン類
  9. 穀類加工品
  10. 菓子類
  11. 豆類の調整品
  12. 砂糖類
  13. その他の農産加工品
  14. 食肉製品
  15. 酪農製品
  16. 加工卵製品
  17. その他の畜産加工品
  18. 加工魚介類
  19. 加工海藻類
  20. その他の水産加工品
  21. 調味料及びスープ
  22. 食用油脂
  23. 調理食品
  24. その他の加工品
  25. 飲料類
別表第2(2条関係)生鮮食品の定義 ….(参考)生鮮食品品質表示基準(別表2)
  1. 農産物(きのこ類、山菜類及びたけのこを含む)
    1. 米殻(収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び精麦又は雑穀を混合したものを含む)、玄米、精米
    2. 麦類(略)
    3. 雑穀(略)
    4. 豆類(略)
    5. 野菜(収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断した、単に凍結させたものを含む)
    6. 果実(略)
    7. その他の農産食品(略)
  2. 畜産物
    1. 肉類(単に切断、薄切り等したもの並びに単に冷蔵及び凍結したものを含む。)
    2. 乳(生乳、生山羊乳、その他の乳)
    3. 食用鳥卵(殻付きのものに限る。)略
    4. その他の畜産食品
  3. 水産物(ラウンド、セミドレス、ドレス、フィレー、刺身(盛り合わせしたものを除く)、むき身(単に凍結させたもの及び解凍したもの並びに生きたものを含む))
    1. 魚類
    2. 貝類
    3. 水産動物類
    4. 海産哺乳動物類
    5. 海藻類

今までは生鮮食品と加工食品の区分については、JAS法と食品衛生法において異なることがあったが、新法では、基本的にJAS法の定義に基づくことになりました。
そこで今まで生鮮食品だったものが、加工食品になったものとしてドライフルーツや、逆に加工食品だったものが、生鮮食品になったものとして食肉をカットしただけでパッキングされたものがあります。

生鮮と加工の区分

なおJAS法では「製造」又は「加工」されたものが加工食品であり、「調整」又は「選別」にあたるものは「生鮮食品」と分類されています。



用語定義
製造その原料として使用したものとは、本質的に異なる新たなものを作り出すこと
加工あるものを材料として、その本質は保持させつつ新しい属性を付加すること
調整一定の作為は加えるが、加工には至らないもの
選別一定の基準によって仕分け、分類すること
種別考え方
組み合わせ
盛り合わせ
いくつかの生鮮食品を単に組み合わせたり、盛り合わせただけで、バラバラに飲食、調理等されることが想定されるもの
混合いくつかの生鮮食品が混合されて一つの商品としてそのまま飲食、調理されることが想定されるもの

食品表示の表示箇所と対象範囲


食品形態別製造(生産)場所容器包装表示項目
生鮮食品生産場所以外で販売される場合なし名称、原産地等(一部限定される)
あり名称、原産地、その他の義務表示(食品によって添加物、消費期限、保存方法等の表示も必要)
生産場所で直接販売される場合なし適用対象外
あり一部限定した項目のみ(摂取する際の安全性に関する表示
加工食品製造場所以外で販売される場合あり加工食品の表示項目が適用対象名称、原材料名(添加物、アレルギー含む)、内容量、期限、保存方法、製造者、栄養表示等
製造場所で販売される場合(バックヤード等)あり名称、添加物、アレルギー、期限、保存方法、製造者等(一部限定)
製造場所で販売なし適用対象外
設備を設けてその場で飲食させる場合適用対象外

※適用対象外でも、生食用牛肉のリスク表示についてのみ適用となります。
※店頭のPOPやホワイトボードも可能です。(未包装の生鮮食品)
※表示免除される場合・・・量り売り、陳列販売、セルフ販売 など。

生鮮食品と加工食品の違いについて

1.生鮮食品と加工食品の違い

生鮮食品と加工食品の違いについて

一般的に、加工食品は、製造や加工の工程を経て、食品としての本質が変化したり、新たな属性が加わったりすることから、消 費者は、その食品を一見しただけで は、原材料などの情報を得られません。
一方、生鮮食品は、流通過程においてそのような変化等がないことから、比較的容易に、その食品についての情報を得られ るこ とができます。

*生鮮食品とは・・・加工食品及び添加物以外の食品として【食品表示基準別表第二】に規定されている食品です。主に農産物・畜産物・水産物に分類されます。
*加工食品とは・・・製造又は加工された食品として【食品表示基準別表第一】に規定されている食品です。例として、漬物・ソーセージ・かまぼこ等がありま す。

2.生鮮食品の表示方法【横断的義務表示と個別的義務表示】

生鮮食品に必要な表示項目は大きく分けると、横断的義務表示と個別的義務表示の2つに区分されます。
横断的義務表示とは共通して表示すべき事項です。名称、原産地は必ず表示しなければなりません。この他に必要に応じて、消費期限、保存方法、 使用方法、添加 物などを表示します。下記に該当する生鮮食品ならば、それぞれ表示します。


〈横断的義務表示〉

  • ・名称
  • ・原産地
  • ・放射線照射に関する事項
  • ・特定保健用食品である旨など
  • ・機能性表示食品である旨など
  • ・遺伝子組換え農産物に関する事項
  • ・乳幼児規格適用食品である旨
  • ・内容量および食品関連事業者の名称など   (計量法第13条1項に規定する特定商品であって密封されたもの)

個別的義務表示があるのは横断的義務表示のほかに、個別のルールにのっとった表示が必要になります。 参考までに、個別的義務表示が定められている食品は、下記の通りになります。


〈個別的義務表示のあるもの〉

  • ・玄米及び精米
  • ・しいたけ
  • ・かんきつ類など
  • ・生乳、生山羊乳及び生めん羊乳
  • ・水産物
  • ・ふぐ
  • ・生かきなど

3.生鮮食品・加工食品の該当例・加工について

①生鮮食品に該当する例

  • ・1種類の野菜を単に切断したもの
  • ・同じ食肉の部位を調味せずに1つのパックに包装したもの(牛もも肉と牛ばら肉のセット商品)
  • ・オゾン水、次亜塩素酸ソーダ水により殺菌洗浄したもの

②加工食品に該当する例

  • ・加熱処理した上で冷凍した野菜
  • ・複数の種類の野菜を切断して混ぜ合わせたもの
  • ・スパイスを振りかけた食肉
  • ・複数の種類の刺身を盛り合わせたもの

➂加工とは

新しい属性を付加する行為であり、本質的な変更を施さない行為が該当します。
具体的には、以下の行為が加工になります。

  • 1.形態の変更
      ア.切断:加工食品の単なる切断(ハムの塊をスライス、など)。

      イ.整形:加工食品の大きさを整える(ブロックのベーコンの大きさと形を整える、など)

      ウ.選別:加工食品を選別(煮干を大きさで選別、など)。

      エ.破砕:生鮮食品や加工食品を粉末(粉状にしたもの)ではなく、少し砕く行為(挽き割り大豆、コーングリッツ、など)。

      オ.混合:異なる種類の生鮮食品や加工食品の混合(キャベツとレタスの野菜ミックス、あられと落花生の混合(柿ピー)、など)。

  • 2.容器包装の変更
      ア.盛り合わせ:複数の異なる生鮮食品を盛り合わせること(マグロとサーモンの刺身盛り合わせ、など)。
       ※盛り合わせたものは別々に食べる。・生鮮食品や加工食品(異なる種類)の盛り合わせ(マグロとゆでダコの盛り合わせ、など)。

      イ.小分け:加工食品を小分け包装する(うなぎ蒲焼きをバルクで仕入れ小分けする、など)

  • 3.加塩
      既に塩味のついた加工食品を加塩する(塩鮭甘口に振り塩をし塩鮭辛口にする、塩蔵わかめに塩を加える、など)

  • 4.骨取り
      原型のまま除骨を行う(塩サバの骨取り、など)。

  • 5.表面をあぶる
      生鮮食品の表面だけあぶる行為(牛肉のタタキ、カツオのタタキ、など)

  • 6.冷凍
      単に加工食品を冷凍したもの(凍り豆腐、寒天、冷凍食品等の製造行為に該当するものを除く)。

  • 7.解凍
      自然解凍等により、単に冷凍食品を冷蔵もしくは常温の状態まで解凍したもの(冷凍ゆでダコを解凍する)。

  • 8.結着防止
      固まらないように植物性油脂を塗布(レーズンへの植物性油脂の塗布)。
      ○「製造」は基本的に上記以外の行為をいいます。
 

4.生鮮食品と加工食品の基本ルール 情報サイト

加工食品の種類は、水産練り製品・肉加工品・乳加工品・野菜加工品・果実加工品・油脂食品・嗜好食品・調味料・菓子類・冷凍食品・レトルト食品・缶詰食品・ びん詰め食品・インスタント食品等、多岐にわたります。
また、組み合わせと混合の考え方について、生鮮食品の同種混合は生鮮食品だが、異種混合は加工食品になる。ただし異種でも単に組み合わせただけでは生鮮食品 である点に注意が必要となります。
詳しくは下記サイトにてご確認ください。


*食品表示.com:生鮮食品の基本ルール

*食品表示.com:加工食品と生鮮食品の定義

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