消費者庁が実施した全国調査では、食物アレルギーによる医療機関受診例が多数確認されています。
直近の令和7年12月に提出された消費者庁食品表示課の資料によれば、原因食物の上位には卵、牛乳、小麦に加え、木の実類が含まれており、特にナッツ類による反応は重篤化しやすい傾向が指摘されています。
食品に含まれるアレルゲンは、摂取した人の体質によっては重篤な健康被害を引き起こす可能性があり、そのリスクを未然に防ぐために食品表示は極めて重要な役割を担っています。
特に即時型食物アレルギーは、摂取後短時間で症状が現れ、蕁麻疹や呼吸困難、さらにはアナフィラキシーショックに至ることもあるため、消費者が事前に「含まれている旨」を理解できるよう、現行の食品表示法では「特定原材料」「特定原材料に準ずるもの」として表示義務もしくは表示の推奨がされています。
2025年12月、消費者庁が食品表示基準におけるアレルゲン表示の見直しを行い、新たに「カシューナッツ」と「ピスタチオ」が特定原材料・特定原材料に準ずるものとして追加されることが決定しました(カシューナッツは、従来特定原材料に準ずるものに分類)
この決定により
「特定原材料」…そば・小麦・蟹・落花生(ピーナッツ)・乳・エビ・卵・くるみ・カシューナッツの9項目
「特定原材料に準ずるもの」…アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・⽜⾁・ごま・さけ・さば・⼤⾖・鶏⾁・バナナ・ピスタチオ・豚⾁・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチンの20項目となります。
(特定原材料は義務表示、特定原材料に準ずるものは推奨表示は変更はありません)
今回の追加決定は、近年のアレルギー症例の増加や、木の実類による重篤な反応が多く報告されている実態を踏まえたものであり、数年前より検討されていました。消費者庁の調査でも、木の実類が原因となるアレルギー症例が上位に位置しており、特にカシューナッツやピスタチオは少量摂取でも強い反応を引き起こすケースが確認されていることが原因とされています。
また、これらのナッツは加工食品や菓子類、エスニック料理など幅広い食品に使用されているため、意図せず摂取してしまうリスクが高いことも今回の追加の一因と考えられます。
新たなアレルゲン表示の追加に伴い、今後のスケジュールが発表されています。
令和7年12⽉19⽇:⾷品表⽰基準改正(案)について、令和7年度⾷品表⽰懇談会に報告
今後1か月を目途:⾷品表⽰基準改正(案)についてパブリックコメント発表
令和7年度内(予定):⾷品表⽰基準改正(案)について消費者委員会(⾷品表⽰部会)で議論
消費者委員会後準備整い次第:⾷品表⽰基準改正
食品事業者には、原材料管理や製造ラインの見直し、パッケージデザインの変更など、実務的な対応に時間を要するため一定の猶予期間が設けられる予定です(現状、⾷品表⽰基準改正より2年間の予定)。
今回変更になる「ナッツ類」は微量でも重篤な症状を引き起こす可能性があるため、含まれていること以上に、コンタミネーション(意図しない混入)対策はこれまで以上に重要になってきます。
アレルギー表示は、発症事例数・重篤度等により年々増える傾向にあります。その度ごとに、包装資材・メニュー・HP上での表示変更を余儀なくされますが、消費者の生命と健康を守るための極めて重要なことであります。原材料管理、製造工程、表示内容の見直しなど、今から準備し計画的な対応が求められています。