近年、国内の冷凍食品市場は継続的に拡大しており、その成長は顕著です。
日本冷凍食品協会の統計によると、家庭用冷凍食品の市場規模は2010年頃には約4,000億円でしたが、2023年には約7,000億円を超え、10年以上で約1.7倍に拡大しています。また、1人当たりの年間冷凍食品消費量も増加傾向にあり、2010年の約20kgから2022年には約30kg前後へと増え、約1.5倍となっています。
背景には、共働き世帯・単身世帯の増加、調理の簡便性ニーズの高まりがあり、コロナも要因であった、との見解もあります。
さらに、冷凍技術の進歩により、品質保持が向上し、冷凍食品の「手軽さ」と「美味しさ」が両立するようになったことも市場拡大を後押ししています。
また、食品ロス削減の観点からも冷凍食品は注目されており、企業側の新商品開発も活発です。冷凍食品事業に取り組む意義は大きい一方、消費者の信頼を得るためには、法令に基づいた正確な表示が不可欠となります。
冷凍食品の表示では、一般食品と同様に食品表示法に基づく基本項目の記載が求められますが、冷凍食品特有の注意点も多く存在します。以下、注意点に関してのみ整理します。
・保存方法の明記
「−18℃以下で保存」など、適切な温度条件を明確に記載すること。
・凍結前加熱の有無の記載
「加熱してあります」「加熱してありません」など、消費者が調理の必要性を判断できるようにする。
・加熱調理の必要性の明示
「加熱してお召し上がりください」など、誤解のない表現で記載する。
上記は、表示の枠内に記載しなければいけません。
以下、表示の枠外下に記載してくだい。
・調理方法の具体的記載
電子レンジ・湯せん・オーブントースターなど、機器別に具体的な時間・手順を記載する。
これ以外の表示で、特に注意すべき点
・アレルゲン表示の正確性
特定原材料等の漏れがないよう、原材料リストと照合して確認してください。
・原材料名・原産地の正確な記載
特に輸入原料を使用する場合は、原産地の誤記に注意し、根拠となる資料も準備しておく。
具体的な表示の例を使って、表示内容・表示場所等を説明します。
(冷凍食品)
【名称】冷凍たこ焼き
【原材料名】小麦粉(国内製造)、たこ、卵、キャベツ、しょうゆ、植物油、砂糖、食塩、かつお節粉末/加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、(一部に小麦・卵・大豆を含む)
【内容量】300g(6個)
【賞味期限】枠外右下に記載
【保存方法】−18℃以下で保存してください
【凍結前加熱の有無】加熱後調理
【加熱調理の必要性】加熱してお召し上がりください
【製造者】○○食品株式会社 福岡県○○市○○町
【調理方法】
・電子レンジ:凍ったまま袋から取り出し、皿に並べて600Wで約4分加熱
・オーブントースター:凍ったままアルミホイルにのせ、約8分加熱
【原産地】たこ(ベトナム)
冷凍食品市場は今後も拡大が見込まれ、非常に魅力的な事業となります。その一方、冷凍食品は保存方法や調理方法が品質と安全性に直結するため、通常の食品以上に表示内容の正確性が求められます。
保存温度、加熱の必要性、調理方法など、消費者が安全に利用するための情報を明確かつ分かりやすく記載することが不可欠です。また、原材料やアレルゲン、原産地などの基本情報についても、誤記や漏れがないよう厳格なチェック体制を整える必要があります。