食物アレルギー とは、食物を摂取した際、身体が食物に含まれるたんぱく質等を異物として認識し、自分の体を過剰に防御することで不利益な症状を起こすことであり、「かゆみ・じんましん」、「唇の腫れ」、「まぶたの腫れ」、「嘔吐」、「咳・ぜん息」が主な症状です。 「意識がなくなる」、「血圧が低下してショック状態になる」などの重篤な症状を呈する場合もあり、最悪の場合、死に至ることもあります。
食物アレルギーは、人によってその原因となるアレルゲンと、その反応を引き起こす量が異なります。また、同一人であっても体調によって、その反応も変わります。 なお、食物不耐症(ヒスタミンによるアレルギー様作用やカフェインによる興奮作用など)は免疫に作用するものではないため、食物アレルギーには含まれません。
・アレルゲンとは ・・・アレルギー症状を引き起こす原因となる物質(抗原)のことです。 ・アレルギーとは ・・・食品を摂取した際に人によって食物に含まれる特定のアレルゲンが、体内で異物と認識されて排除する為の機能が働くことにより過敏な反応状態を起こし、その結果好ましくない症状に至る状態のことです。
つまり、アレルゲンはアレルギーの原因物質 のことを、アレルギーは症状 のことを指します。
現在、食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった物質は表示義務のある「特定原材料」8品目 と、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」20品目 に分けられております。
特定原材料 (義務表示) えび、かに、小麦、たまご、そば、乳、落花生(ピーナッツ)、くるみ 特定原材料に準ずるもの (表示推奨) あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、豚肉、バナナ、鶏肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、アーモンド、マカダミアナッツ
上記、特定原材料には食物アレルギー表示の義務、特定原材料に準ずるものには表示の推奨がされております。 中でも2023年9月に特定原材料として追加された”くるみ” については来年2025年3月が経過措置期間になりますので、くるみを含んだ食品を製造されている事業者は表示ラベルの切り替えが必要 になります。
アレルゲンがもたらすアレルギー症状は人体に大きな影響をもたらします。 そのため消費者庁の定める表示の監視と正しい表示が行われていなかった際の措置は下記の通りになります。
① 保健所等による食物アレルギー表示の監視 保健所等では、食物アレルギー表示が正しくされているかを、以下の方法で確認しています。 ・原材料や製品の仕入時に、販売元の事業者から特定原材料等の有無についての情報提供を受けているかなど、製造・販売に係る関係書類から確認を行う。 ・加工食品に特定原材料が含まれているかどうか試験検査する。 ・食品を生産するに当たり、意図しない特定原材料等の混入が発生しないよう、製造ラインの洗浄方法等、混入防止策について確認する。 なお、施設の衛生管理や食品の取扱いについては、HACCP による衛生管理も参考にしてください。
② 保健所等が表示違反を発見した際の措置 食品表示法第5条において、食品関連事業者等は、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をしてはならないこととなっています。そのため、保健所等が表示違反の食品を発見した際は、必要事項を表示すべき旨に加え、訂正されるまでの間は、販売を行わないよう指導を行います。
さらに、食物アレルギー表示については、食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす表示事項とされています。 このため、食物アレルギー表示違反の場合は、食品表示法第 6 条第 8 項の規定により、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、食品関連事業者等に対して、食品の回収やその他必要な措置をとることの命令や、期間を定めてその業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずる場合もあります。 なお、この命令に従わない者は、3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金、法人では前述の行為者を罰するほか、3億円以下の罰金 に処せられます。 また、場合によっては、食品表示基準に従った表示がされていない食品を販売したことに対して、2年以下の懲役又は 200 万円以下の罰金、法人では前述の行為者を罰するほか、1億円以下の罰金 に処されることがあります。
不当な食品表示を行っている食品製造業者(※1)に対し、適格表示団体(※2)による、差止請求つまりその事業者に対し、法的手続きを行うことが出来ます。 ※1…食品表示法に基づく不当な食品表示を行っている食品製造業者とは、食品の名称、アレルゲン、保存方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量又は熱量、原産地について、著しく事実に相違する表示行為を行っている事業者を指します ※2…被害回復裁判手続を行うのに必要な適格性を有するとして、内閣総理大臣が認定した消費者団体
■差止請求の対象については 事業者が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法等に違反する不当な行為を行っている、又は、行うおそれがあるときが対象です。 事業者が誤った食品表示に対し、自主回収(リコール)を行うには食品事業者は健康被害の恐れから食品の自主回収を行う際は行政への届け出が必要になります。 食品リコール情報の届け出には厚生労働省の電子申請システムの活用が推奨されております。 報告対象については以下の通りです。
・食品衛生法に違反する食品 ・食品衛生法に違反のおそれがある商品 ・食品表示法に違反する時
■報告対象から適用が除外される場合 ・当該食品等が不特定多数の者に対して販売されたものでなく、容易に回収できることが明らかな場合 ・当該食品等を消費者が飲食しないことが明らかな場合
食品ロスの観点から、食品の自主回収を行う前に表示の修正(上からラベルを貼るなど)が可能かを確認することが望ましいです。 食品の自主回収の目的 は消費者に対し、迅速な対応に正確な情報を提供すること、消費者への健康被害を未然に防ぐことが目的 です。
誤った食品表示により、消費者への健康被害が起きた時、事業者は速やかな対応が必要になります。 食品表示については事前の確認と、迷った場合は各保険所へご相談 をお願いいたします。
■アレルギー表示について 容器包装された加工食品において、特定原材料を含む場合、表示を義務付けられておりますが、その表示方法は個別表示と一括表示の2種類があります。
原則は「個別表示」 ですが、表示面積に限りがある場合、または、特定原材料を含む対象原材料が、全体の重量に対して5%以下などで「その他」と表示されている場合は例外として、原材料名の最後に『(一部に~を含む)』と表示する一括表示が認められています。 アレルギー表示を含む、食品表示に関して不明な点、質問等がございましたら、弊社サイト:食品表示.com を参考にしてください。 食品表示.comでは、随時、食品表示に関する新しい情報の提供をおこなっております。 質問の専用ページも設けておりますので、一度参考にしてください。
出典元情報: 加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック